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夫婦別姓で思う諸々のこと

この議論に関してはメリット・デメリットから語る方と、SDGsや女性差別の面から語る方、その両面を絡める方など様々です。

所謂保守系は日本の家系という考え方から反対または旧姓併記、革新系は賛成という立場に立って議論が展開されているようなのですが、その他では「よく分からないけれど、別に気に留めていない」という層もいるのではないでしょうか。

結婚すると大半(一説には95%以上)が男性側の姓に変わる女性の不便が社会進出や差別を助長しているという意見はもっともです。

一方、別姓にした場合にその間に生まれた子どもはどちらを名乗るのか、名乗ることを選択させることが良いことなのかという課題を提起する人がいます。

これも重く考えることだと思います。

同じ姓が世の中にたくさんあることを考えると姓をブランドに見立てるのは乱暴かもしれませんが、結婚を契機に姓を変えるということはブランド名を変えることに近いのではないでしょうか。

但し、これまでのように「当たり前のこと」として女性が男性の姓に変えていたのですが、その際の不利益をすべて女性が負わなければならないことは問題として解決すべきことです。

一方、ここで気になったのは、先のデータから推測される5%の男性は結婚して女性の姓を名乗っている訳ですが、その人たちは同様に不利益を被っているのかどうかです。

前者には不利益の根本に女性差別があるという方も多いのですが、後者はそこは該当しません。

男性の場合は、世間的に「養子に入った」と言われますが、戸籍上何が女性の場合と異なるのかよく分からないので誤った発言はできませんが、その点の差があるとすればそれは差別として明らかに認識されるべきでしょう。

私の考えは、二人の男女(これも最近は表現がずれているかもしれませんが分かりやすくするために)が新しい家庭を築くと決めて、それを国の制度で認めさせる際に「ひとつの姓に合わせる」ことは二人のブランドをこれから育ててゆく覚悟として必要だと思います。但し、どちらかにするという検討に旧来の「当たり前」を反映させることは差別を温存させることになることから排除すべきで、その前提でどちらにしようと二人で決めることです。

でも「それができない社会だから制度から変えてゆくんだ!」という意見も分かります。

また、事実婚の背景には複雑な事情が絡んでいる可能性もあり、それを選んでいる人を軽率に傷つけるつもりもありません。

それでも「二人でひとつの姓を決められる仕組みが必要」という気もするんですね。

 

個人的には、どちらか決めるのが嫌なのであれば、第三の姓を二人で名乗れるようにする道があればその方がスッキリすると思うのですが、乱暴でしょうか。(急に「西園寺」とか「綾小路」とか増えても変ですが、、、)

気になるのは、これが政争の具になってしまい、冷静な議論ができなくなってしまうことです。

意見の対立は決して悪いことではありません。しっかりした議論をより多くの人たちが自分事として考え、判断の材料を積み重ねることが大切です。しかしながら発言の内容の責任も後始末も集約もできない状況では極めて難しい気がします。

他方を攻撃するのではなく、異なる意見の層に気付きを与えるような作業を丁寧に行うのはもしかしたら新聞など言論機関の役割ではないかと期待しています。