今年の始めJMAのマーケティングの定義が改訂されました。前回は1990年なので34年ぶりです。
特徴は「価値の共創」「ステークホルダーとの関係性」などの文言が加わったこと、またマーケティングが「市場創造のための総合的な活動」から「持続可能な社会の実現のための構想でありプロセス」と表現が変わりました。
内容は十分納得できるものですが、これは、時代の変化に合わせてアップグレードされたものなのか、それとも時代がマーケティングの本質を際立たせた結果の表現変更なのか、この手の定義改訂にはニワトリ卵的な疑問を感じざるを得ません。
なぜかと言うと、この定義は1990年やさらに昔(極端に言えば、江戸時代の越後屋呉服店?)でも十分通用したのではないかと感じたからです。
確かに「持続可能な社会の実現」など社会課題化されていない時代には存在しない表現ですが、そこに通じる考え方を持つ企業は、例えば環境対応やリサイクル・リユースの推進など活動の根底にはその定義の真意が理解されていたと思われます。そ例外の考え方も決して初めて産み出されたものではなく、「今それが理解できていないと競争で生き残るのは大変ですよ」と、より多くの人が認識しだしたことを明示したともいえるのではないでしょうか。
定義が変更になると「変更になったこと」や文言の差分に注目が集まりがちですが、変わらない部分の重要性や本質を見逃す恐れがあります。
以前にもこの欄で書きましたが、実務に携わっていると定義なんて後回しになりますよね。確かに会議中に用語の定義で議論するほど無駄な時間はありません。でもそれは定義が無駄だということではなく、定義やその真意が共有できていないことが表面化したと捉えるべきでしょう。
与えられた言葉を丸飲みすることなく、向いあって真意を理解し協調する姿勢を持ち続けたいものです。